美味しくて楽しいお店、そんなお店の素敵な店主さんと仲良くなりたい。
店主と楽しそうに料理について話す常連さん、あんな風に楽しい時間を過ごしたい。
自分の気に入ったお店ならそう思うことがあります。
しかし、そんな関係にうまくなれなかったり、なぜかそっけない態度を取られてしまった経験がある人は少なくないと思います。
今回は、お店の人が接客した時に感じていることをお客さんである貴方にお伝えしたいのです。
全ては、普段の人間関係と同じで当たり前のことが知れませんが、なぜかお店の人との関わりとなると、思うようにいかない方が多いように感じます。
飲食店を長く経営し、多くのお客様と接する一方で、お客さんとして多くのお店を訪れた筆者の経験からこんな気持ちを持ってもらえるとお店の人も、お客さんも楽しい時間を過ごせるはずという大事なポイントをご紹介します。
★極端に安い居酒屋と高級なフレンチなどは例外が多く、一人4,000〜8,000円ぐらいの飲食店を想定して書いています。
また、いつも外食を十分に満喫している方には、当たり前のことすぎて、何の参考にもなりませんので、読む必要はありません。
素敵なお客さんになるための7つのポイント
- 1. お店の人の都合を考える
- 2. やっぱり大事な言葉遣い
- 3. 必要のない背伸び
- 4. 脱、オススメはなんですか?
- 5. 必ずリアクションをとる
- 6. 閉店時間は守る
- 7. お客様は神様かどうか?
これらを少しずつでも心がければ、お店の人たちは、貴方と共に楽しく過ごせるように努力を惜しまなくなるはずです。
それでは、ひとつずつ解説していきます。
お店の人の都合を考える
ほとんどのお客さんは、店員さんに用がある時に
「すいませーん!」
と声をかけると思います。
この「すいませーん!」をいうタイミングを考えたことはありますか?
今言って、店員さんがすぐ反応できるような時に声をかけれているでしょうか?
店員はプロなんだから、声をかけたらすぐ来るのが当たり前だろう。
と考える人も多いと思います。
でもこれは少し考え方を変えて欲しいのです。
特に改めるべきは、明らかに店員さんが対応できない時に、
「すいません!」ととりあえず言うことです。
お店の店員さんの数、その時の混雑状況、これらを考えた上でお願いをするスタンスでいて欲しいのです。
少し寛容でいて欲しいのです。
もちろん、「すいません!」と言わない限り、何も気付こうとしないお店も中にはありますが、そういったお店は、今後いい関係を作ろうと思はないはずなので、例外です。
最高のタイミングで、声をかけてくれるお客様は、素敵なお客様で、滞在しているうちに、向こうから気にかけてくれるようになっていきます。

「すいません!」は魔法のおまじないではないのです。
そして、サービスのレベルは、そのお店の価格帯にもよるところがあります。
サービス料をとって、1人2万円の食事になるようなお店は、当然、お水が欲しいなと思った時に言わなくても、お水が出てくるべきですが、1人3000円程度のお店では、そうはいかないことも理解しておかないといけません。
料理、接客、雰囲気、価格など総合的に判断して、それでも、何回も店員さんを呼んでもきてくれないことが不満であるならば、その店は行かなければいいでしょう。
やっぱり大事な言葉遣い
最近はだいぶ改めている人が増えましたが、やはり、お店の人とは敬語で話すべきです。
店主、店員さんと信頼関係ができるまでは、最低でも敬語です。
説明するまでもないかもしれませんが、
【 飲食店で食事をする。】
これは、お店の人のお客様に対する敬意とお客さんの店主、店員さんへの敬意があって、初めて成立することであり、お店にお邪魔して、食事の世話をしてもらうという意識を持たねばなりません。
おまけに食べ終わった食器まで洗ってもらってます。
そのサービスを受けた対価として、代金を支払う。
これでフェア・トレードであり、対等な関係なのです。
どちらが上であってもいけません。
例外:
少しいお寿司屋さんだと筆者もかなり下手になり様子を伺います。
これは、例外で、お寿司屋さんの歴史と雰囲気と威厳を楽しむのも料金に入っている感覚だからです。
場合によっては、そんな食べ方したらダメだよと70歳ぐらいの店主に怒られるのも、寿司屋の楽しみの一つと考えます。
若い店員さんに言われるのは嫌ですが、そういうのが似合っている店主なら、それはそれで歓迎です。
逆にお客さん側も 似合わない言葉遣いをしているのが一番カッコ悪いのです。
もし、北野たけしが来店して、
「お嬢ちゃん、おかわり持ってきて。うんそう、これ。」
と言ったとします。
敬語じゃないですが、似合っているので、本当に気になりません。
それなりの年齢で、いろんな経験をしてきた大人だからです。
自分の身の丈にあった、丁寧な言葉遣いであるべきです。
必要のない背伸び
30歳そこそこで、まだそんなに食べ歩いてもいないし、料理・食材の知識がない人が、彼女とのファーストデートだからと言って、
「うん。それでいいや。それちょうだい。」と言うのは、かなりの違和感を覚えます。
あまりに敬意のない言い方をする若い子に「なんでそんな感じの言葉遣いなの?」と筆者は聞くことがありますが、
「ナメられたくないから。」と答えた子が多くいます。
若い子をナメてくるような店員がいる店は、いい店ではないから、もう行かなければいいですし、もし、ナメられたとしても、ちゃんとした言葉遣いでお願いしていれば、いつのまにか可愛がってくれるようになります。
これは、スナックの女の子を連れたおじさんと若いカップルの男性に多いでのです。
似合わない言葉遣い、背伸びした態度で、自分をすごい人に見せようとするのはやめましょう。ひとつもいいことがありません。
脱、オススメはなんですか?

本当にお勧めの料理を聞きたくて、「おすすめは?」と聞くのなら、まだいいのですが、なんでもいいから適当に出して欲しいという気持ちでオススメを聞かれるはちょっとがっかりします。
自分の口に入る物をあまり考えずに人に託す程度の料理に興味がない人ということになってしまいます。
とりあえずこの店でいいか、というような利用目的の居酒屋でしたら、まだ分かりますが、メニューの構成をしっかり練っているようなお店のスタッフならとても残念です。
もっと言うと
「お勧めはなんですか?」
これはお客さんによって違います。
今日これまでに食べた物、好み、この後どうするのか、(場合によっては、その人の持病)これらでまったく変わってきます。
いずれにせよ、「おすすめは?」では情報が足りなすぎるのです。
でも、ついつい言ってしまいますよね。「オススメは?」
これは、もうちょっとよくわからないし、何頼んだらいいか困ってる時に言うことが多いようです。
そんな時は、そのどうしたら良いか分からない気持ちをそのまま伝えましょう。
スペイン行ったこともないし、スペイン料理屋は、1.2度しか行ったことないんでよく分からないんです。
さっきハモンセラーノとイワシの酢漬け頼んだんですが、あと一品ぐらいあっさりしたものを食べたくて、何がいいですかね?
あっ、最後にパエリアは食べたいんです。
それは決まってるんですが。
これが素敵なお客さんの聞き方です。
一度、こんな風に聞いてみませんか?
僕がスペイン料理を愛してて、大好きなお店で働いていたら、提案するのが楽しいし、他のお客さんより気にしてしまいます。
大好きなお客さんです。
逆に、こんな聞き方してきたお客さんに対して、面倒くさそうに答えるお店は、そのスタッフの熱意がないか、素敵なお店ではないという判断基準にもなります。
さっき飲んだ日本酒、結構とろっとして、重い感じだったんで、もうっちょっとサラッと飲めるのあります?
興味があって考えてる人は、こう聞いてきます。
イケてるお客さんです。
お店の人も「おすすめって何ですか?」と聞かれすぎて慣れてますので、軽く聞かれたら、これを勧めると決めている店もあります。
でも
おすすめって聞かれても、全部美味しいと思ってメニューに載せてるんだから、全部おすすめだし、人によって勧めたいものは違うし好みわからないから、真剣に答えられないよな。
っていうのが本音です。
実際、そうお客さんに言っている店主もいます。笑
また、おすすめを特に会話なく即答してくる、それなりのお値段のお店は、そんなに高いレベルの料理、接客ではないことが多いです。
(ノリがいいのことが売りの居酒屋は例外です!)
ぜひ、素直に、具体的に会話をしてみてください。
必ずリアクションをとる
お店の人が、一番やりがいを感じるのは、来店した時は笑顔も元気もなかったお客さんが
「美味しかったです。」
「楽しかったです。」
といって帰っていく時です。
当たり前ですが、とにかく、反応があることが一番嬉しいのです。
反対に、お客さん同士で、しゃべってばっかりで料理にも興味なく、なんの感想も質問もないのが一番寂しいのです。
その感想がたとえ「私ね、ここまで辛いとちょっとダメなんです。すいませーん。」でもいいんです。
反応があることがとても大事!
反応があるお客さんは、料理に興味を持ち、他の店で食べた料理と違うところが分かり、これなんだろうと思ったものは、「これなんですか?」と聞いてきます。
その気づきがなければ、何も始まらないんです。
あなたは、料理が運ばれてきた時、できる限りおしゃべりをやめて、店員さんの目をみて、料理名と料理の説明を聞いてますか?
気づきのあるお客さんは、大概それが出来ています。
そして、美味しかったら、必ず伝えましょう!
愛想ない料理人でも確実に喜んでいます。

閉店時間は守る
つい甘えてしまうことがありますが、これはとても大事です。
閉店間際で、自分たちが最後のお客さん。店員さんと話が弾んで、
「まだいてもらっても大丈夫。」そんな雰囲気であっても、必ず閉店時間には
そろそろ行きますね。すいません遅くまで!
と言い、席を立ちましょう。
お客さん1組がいつもより15分長く残っていれば、店員さんが帰る時間は1時間遅くなることもあるんです。
本当に楽しくて、店員さんがもう少し話したいと思っているなら、開けてしまったボトルの白ワインの残りを黙って注いでくれるでしょう。
上司がお会計をする時に、財布を出して、払う気があるフリはできるのに、なぜ帰ろうとするフリはできないんでしょうか?
お客様は神様かどうか?
お客さんは神様です。
はたまた、
お客様は神様ではない。
こんな議論が昔ありましたが、どちらの話もお互いが尊重しあっていれば、そもそも不要な話です。
そして、議論の発端である
お客様は神様です。
この言葉が使われたのは、飲食などのサービス業で、会社、お店が全員でいい接客をしようと努力するために語られたフレーズであり、決してお客さんが心に思うことではありません。
お客さんに敬意を払おうという志なのです。
それに対してお客さんである貴方も敬意があるべきです。
そんな風に対等な信頼関係をつくろうと思い続けていれば、素敵なお店の店主に出会う確率もあがり、いつのまにか自分のお店を選ぶ能力も上がってくるはずです。
また、自分の食に対する興味・知識のレベルと楽しく過ごせるお店のレベルは似通っていきます。
素敵なお客さんになれば、素敵なお店で楽しく過ごせますし、カッコ悪いお客さんが満足できるお店は、イマイチのお店で、大したお店ではないのです。
このカッコ悪いお客さんのルーティーンに入ってしまうと、いつまで経っても素敵なお店の店主との接点はできません。
本当にしつこいようですが、飲食店で食事をすると言うことは、その貴重な時間をそのお店で過ごすということです。
お店の人、お客さんで一緒に素晴らしい時間を過ごせるようにお互いに協力する気持ちが一番大切です。
ぜひ、参考にしていただき、日本の素晴らしい飲食店を楽しんでいただければと思います。
日本の外食産業は、世界一です。
もっとお客さん力のあがる小山薫堂氏の本です。好きです。
「外食の教科書」
