飲食店の電気代削減マニュアル 【2023年 完全版】〜1万円分の節電をする方法〜

コロナショックで大きく影響を受けた飲食店ですが、感染症の次は戦争の影響が待ち受けていました。ロシアのウクライナ侵攻によってエネルギーの供給に大きな影響が出て、さらに円安が拍車をかけたため電気代の高騰はこの数十年では経験のないレベルになってきています。これからの飲食店にとって電気代の削減は最重要課題であり、この状況は1、2年続くことも考えると電気代の増大で飲食店が潰れるようなことも決して大袈裟な話ではありません。

目次

飲食店の電気代削減チェックポイント5

それでは、飲食店で電気代をしっかりと削減するためにやるべき大事なポイントを大きく分けて5つあげます。

今回の記事で取り上げたことを全て実施し、全店舗20% 電気代削減を狙いたい

ちょっと長文になりますが、さまざまな角度から電気代の削減方法を提案していきますので、しっかり読んで理解して即実行に移してみましょう。成果はすぐに出てくるはずです。

1. 再エネチェンジをしてみる
2. エアコンの使い方を深く理解してみる
3. みんなナメている吸気口の重要性
4. 基本中の基本 LEDへの変更
5. 全て清掃は電気代の削減につながる

1. 再エネチェンジをしてみる

まずは、最も簡単な電気代の削減方法です。

いちばん安い電気を買う!
これが基本です。
多くの人は、スーパーで一番安い牛乳はどれかは確認するのに、いちばん安い電気を売っている電力会社はどこなのかを調べきっていないのです。

 電力会社の再選考を実施しよう!

ほとんどの方がお分かりになると思いますが『エネチェンジ』という言葉が一斉を風靡したことがありました。
これは、2016年に電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や事業所も含む全ての利用者が電力会社や料金プランを自由に選択できるようになり、そのタイミングで電力会社を切り替えようという、その一大キャンペーンで流行った言葉です。

しかし、これは、もう6年も前のことです。 

6年前に電力会社を変更して安くなって喜んでいた時と、今現在のお店の状況が変わっていない飲食店は、ほとんどないはずです。営業時間が変わっていたり、業態転換をしていたりと電気の使い方も変わっていることでしょう。さらに新しい電力会社が増えている地域もあり選択肢も以前より増えています。その辺りを今一度チェックして、あらためて最もお得な電力会社は、どこなのかを選び直すべきです。

電力会社の変更をすることで、今回のエネルギー危機により値上がりしてしまう分をそのまま吸収できる可能性は十分にあります。

一括して見積もりを取れるサイト。 キャンペーン中です。

昔からあるエネチェンジです。

これを機会に今一度、最適な電力会社を選べているのかを確認してみてください。

②    電力会社の見積もりをとってみる。

また、電力会社が見積もりを作成してくれたり、営業担当が最適なプランを探してくれる会社もありますので、問い合わせをし相談することも有効です。複数の会社の見積もりを取り比較検討することで、私のクライアント様の中には、特に節電対策もせずに、いつもの電気代の30%をカットすることができた店舗もあります。

各地域により、契約可能か否か変わってきますが、これまで電気代の削減につながった電力会社をご紹介しておきます。

個人事業でも法人でもOK    20%以上削減できた店が4店舗ありました。

ここ何年も電気会社の見直しをしていないのであれば、お金をドブに捨てているのを認めるということになり、明らかな怠慢経営になってしまいます。あまりにもモッタイない話です。すぐに確認しましょう。

  料金プランを選び直す

電力会社を変えることでキャンペーンなども利用して、大幅に経費の削減をできることが一番ですが、同じ電力会社でもプランを変えるだけで、電気代がだいぶ削減できるケースもあります。

特にコロナショックで、飲食店の営業時間帯やピークタイムが変化し、電気の使用パターンは大きく変わっているはずです。この1年の間、利用プランさえも見直していないのなら恐ろしい怠慢なので、すぐに確認すべきでしょう。もっとも成果が出てくるのは、朝まで営業を取りやめたり、閉店の時間が深夜2時頃だったのを22時までに短縮した飲食店です。バーや居酒屋などは、深夜の消費電力が多いプランを選んでいること多いですが、営業時間が変わってもそのままにしている経営者がとても多いです。必ず再確認しすぐに変更しましょう。

2. エアコンの使い方を深く理解してみる!

毎月の飲食店の電気代の中で一番多くを占めるのは、当然のことながらエアコン電気代です。
夏は33度を25度にして、冬は3度を25度にするなど、その必要なエネルギーが飲食店の経費をたっぷり虫歯んでいます。

このエアコンの使い方の把握することと小学生レベルの理科の知識をしっかり持っておくことが電気代の削減につながります。いちばん重要なところですので、少し時間をかけて確認してみてください。

  ずっと急速運転というアホな飲食店

最初にお店に出勤してきたキッチンのスタッフが、店内のあまりの暑さにエアコンをすぐにつけ、設定温度を18度にして急速運転とかパワーモードにするお店は多いと思います。もちろん、本当に蒸し風呂状態なのであれば、それは仕方がないことかもしれません。

しかし問題は、ある程度お店が冷えてきて快適になってからです。

電気代を気にしている人は、急速運転をやめて通常の冷房運転にしていると思います。もし、そのまま急速運転にしっぱなしにしていたら無駄は多いですし、急速運転をやめたとしても温度設定を18度のままにしていたのでは全く意味がありません。

ベストの状態は、適温にセットし直して、風量は自動にすることです。

もし設定温度が19度ならば、常に19度になるまでエアコンは頑張り続けるので、全く電気代の節約に結びつかないのです。

もちろん、キッチンの中にあるエアコンで、そんなに冷やし続けても全く涼しくなる瞬間はないので、いろいろ考えた上で、エアコンは常にマックスのパワーで運転し、お店のスタッフの労働環境をよくするという結論が出たのなら、それで構いません。ただ、かなり多くのお店があまりちゃんと考えずに、急速運転やパワーモードを営業時間中に続けています。これは改めるべきです。

とにかく、温めたり冷やしたりする飲食店の機材・設備は、温度設定という命令によって、動くものです。そのことも頭に入れることで、電気代の大きな節約になることを覚えておいてください。

   空気の流れを操ってみる

 誰でも知っている常識だと思いますが、理解を深めてもらうために今一度ここで確認します。

「暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に降ります。」 これはお分かりですよね。

さらに、この上と下、『天井付近と床付近の温度差は、5℃ある』と考えてください。

もう一つ覚えて欲しいのは、『人が快適な温度と感じるのは、頭が冷えていて、体が適温な状態だ』ということです。

これらの常識を踏まえて、さらに意外とみなさんが考えられていない点があるので、ここで明記しておきます。

エアコンの温度センサーは、エアコン自体についています。要するに人がいる位置よりも高い位置に温度センサーはあり、その高い位置の温度を測って認識します。(一部のエアコンの機種では、人がいる低い位置の温度を推測しているものがあります。)

ということは、真冬の場合

エアコンの設定温度を24℃に設定しても、暖かい空気は上に行くので、エアコンから出た暖かい空気は上に上がって、天井付近の温度をエアコンが測り24度になります。でも、実際は、お客様がいる床付近は一向にあったまっていなくて、温度差が5℃ですので、19℃ぐらいになっているのです。

それは寒いはずです。

人の出入りがある飲食店は、冬場のエアコンの設定を30℃にしているお店も多いと思います。それでもお客さんが座って過ごす客席の位置は5度差があって25度、もしくはそれにも満たないのでお客さんに寒いと言われることも結構あるでしょう。

このように上下で温度の差があることは、やっぱり無駄で、必要以上に店内を温めているわりに、快適さは手に入れられていないことになります。この対策としては、空気の循環をしっかりさせるために、お店の中の空気の流れをこちらでコントロールするためにサーキュレーターを使うことをお勧めします。

サーキュレーターはそんなに高価なものではありません。 
小規模のお店なら8畳用を一台置いておくだけでも全く違います。


10坪程度のお店ならこのサイズで十分です。クライアントさんが使用して好評のものです。


真冬の寒い時期を例に挙げてみますが、最適な使用イメージは以下のようになります。

エアコンの風向はできるだけ下に向けて、その先にサーキュレーターをおいて真上の天井に強風を送る形がベストです。

これにより、サーキュレーターの風の勢いで天井に溜まった暖かい空気は下に流れますので、お店全体の室温にムラがなく温まることになり、大きな電気代削減の一手となります。

また、夏の場合は、26℃の設定でエアコンをつけていて、エアコンが設置されている天井付近の高い位置で温度は26℃になりますが、人がいる床に近いの所は、もっと低い温度になっています。同じように天井の温度と客席のある床付近の温度差が5度あると考えると、26℃設定の場合は、お客さんがいる位置は、21℃ぐらいになってしまいます。

実際にそんなにしっかり冷房が効く飲食店は少ないですが、飲食店の場合、家なんかと違って冷蔵庫があったり、ビールサーバーがあったりと客席に近い場所でも天井付近を温めてしまうような電化製品が普通の家より沢山あるので、お店の環境によっては、もっと差があることがあります。

そうすると、夏の場合は、客席のある下の方がしっかり冷えていて、あったかい空気は上に行くので、効率よく冷房できるとも言えます。

でも先ほど、もう一点最初ふれた、『人が快適な温度と感じるのは、頭が冷えていて、体が適温な状態』という事実があります。

頭寒足熱ってやつです。

それが出来ていないと冷え性の女性なんかは、

とにかく足が寒い!

なんてことになりかねません。

また、頭や顔が熱くなり汗をかいて不快に感じるので、夏の場合もサーキュレーターを使って空気の流れを作ることが大切です。夏の場合は、冬のように天井にガンガン風を当ててしまうと、あったかい空気が降りてきてしまうので、サーキュレータを床に置いて、床に溜まっている冷たい空気を座っている人の顔の高さに当ててあげるイメージで回すと最適です。

その風がお店を一周できるようなイメージで2台使って配置することもいいです。飲食店の規模に合わせてサイズを選んでみてください。比較的導入が簡単で効果が望める機器ですので、投資する価値はあると思います。

最近では、こんなレトロ調のものもあります。


   布っきれ1枚でも大きな差

エアコンというのは、外気、外の空気の温度とは違う、人が快適に過ごせる温度にお店の中の温度を変更する装置です。

ということは、しっかりと外の空気とお店の中の空気をしっかり境界線を作って分けなければいけません。

つまり、しっかりと遮断することが大切です。 

まず、お店の壁ですが一番いいのは壁の中に断熱材がしっかり入っていることです。 
しかし、これはなかなか気軽に工事できるものでもないので、難しいでしょう。

でも、もし、資金に余裕があるのならば、良質な断熱材を入れることが最高の電気代の削減の一手です。
家庭の断熱工事は、最高で120万円の補助金が出ることから、それだけ効果があることも立証されていますので、検討しましょう。

しかし、断熱工事までは予算が出せない人がほとんどだと思います。

そこで次に考えるのは、ガラス面やドア・扉を遮熱·遮光することで室内の温度をキープする方法です。これは比較的簡単にできます。

特に西日が入ってくる飲食店では、この策をとることでかなり大きな電気代の削減になります。 遮光·遮熱に効果のあるアイテムとしては、カーテン、ロールスクリーン、ブラインドがあります。後からの簡単な工事で実施することが可能ですし、自分自身でDIYすることも可能です。意外とこれらを検討したことがないお店が多く、見落としがちですので、一度は施工可能な環境なのか確認するべきだと思います。

セミオーダーでロールスクリーンが購入できます。ここはとても便利です。


また、一番簡単な遮光·遮熱の方法はカーテンや布です。 

たった布切れ一枚の話ですが、これで夏も冬も室内の温度をキープする上では全く違う結果をもたらします。カーテンレールをつけるといった大掛かりなことでなくても、要所要所を画鋲で止めて布を下げるだけでも全く違いますので、やってみてほしです。見た目には気をつけないといけませんが、スタッカーでバチンとかっこいい布を壁に留めるのは10分もあれば出来ます。窓やドア、勝手口などに一枚の布を垂らすだけでも、効果があるので実行してみましょう。予算があって、取り付けるスペースが取れるのなら、ロールスクリーンやブラインドをお店の雰囲気に合わせてつけるのが一番いいです。

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